2009年01月29日

舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』。

上下巻で約1000頁のメガ小説との戦いもようやく終わりました。

実は私は最初の100頁で、「つまらない」と判断していたんですよね。

もうだいぶ前の話なんでなぜそんな判断をしたかは

記憶が定かじゃないですが

記憶を探るに、事件がなかなか起こらないと感じたからだと思います。

振り返ってみるとそんなことないんですけどね。

その後、しばらく放置していた後で、

他人が「面白い」と評価したのを聞いて再開したという経緯です。

で、結局最終的な評価は、上巻は「面白い」

下巻込みだと「もの凄い」です。







上巻のハイライトは、ミステリ作家の住む「パインハウス」での

殺人事件をめぐって行われる推理合戦でした。

推理小説においては、よく事実を深読みした結果

読み取られる隠された文脈や意味が「真相」として提示されます。

しかし、本書の舞城は、そのような「文脈の読み込み」自体が

実は一つの事実に対していかようにも施すことが可能なものであり

同時に、新たな事実の前では死に絶えるしかない代物だということを

「推理に失敗した名探偵たちが次々に死んでいく」という

衝撃的設定で明快に示してみせました。

一つの意味は、もう一つの意味によって何重にも塗り替えられて

その都度新しい世界を創っていくわけです。

最終的には、意味が意味を重ねていった結果、時空も超えてしまい

タイムトラベルものを経由して壮大な世界創造の話に行き着きます。

一つの設定が新たな世界観を引き起こして

この小説終わらないんじゃないかと思うくらい

すさまじい想像力と綿密な設定構築が同居していて

その意味で、「もの凄い」小説だったと評価します。

二度目読み返すことはたぶん、たぶんないですけど。
posted by 広域 at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 読むこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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